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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)1553号 判決 1954年2月23日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人三名の弁護人羽田野忠文の上告趣意について。

論旨は、原判決が実行の時に適法であった行為につき刑事上の責任を問うたものであるとの見解の下に、憲法三九条違反を主張するけれども、原判決は、被告人の所為は実行の時に違法であったと判断してその責任を問うたのであるから、論旨はその前提を欠き採用することができない。なお本件の裸銅線が古物営業法一条に定義する「古物に」含まれることは明らかである。同法施行規則二条が法の趣旨を制限する意味をもつものと見ることはできないから、古物営業の許可を受ける場合には、営業の目的物を同条所定のいずれかの品目にあてはめて許可の申請をしなければならない。本件の裸銅線の如きは同条九号の機械工具類として申請すべきである。被告人は右の許可を受けないで裸銅線の取引営業をしたのであるから、原判決がこれを有罪としたのは正当である。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三九六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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